□ 隣地の環境を考慮して雨がかりの範囲を探す
⇒雨が当たりやすい部分は雨漏りする確率が高まる。その建物だ
けを見るのではなく、近隣の状況も考慮に入れて、雨が吹き付
けてきやすい面に重点的な対策を講じる。
□ 屋根や壁に穴を開けた部分はすべて侵入荷所と疑う ※1
⇒開口部、換気扇、配線、クギやビス穴など、外装に穴を開けた
部分はすべて雨漏りする可能性がある。新築時に注意するとと
もに、雨漏り修繕の際は念入りに調べる。
□ 原因を確定させてから補修方法を考える ※2
⇒雨漏りは、水の入ってくる場所を特定し、そこから侵入した水
の流れを考慮して、もっとも効果的な補修方法を考える。いい
加減な補修は雨漏りを助長するので要注意。
□ 補修の際は二重三重に浸水対策を講じる
⇒水の侵入箇所にしっかりシーリング処理したうえで、水切りを
工夫し、水切り自体にも防水を施す。侵入しやすい個所には二
重三重に対策を講じないと、再発する危険がある。
□ 原因と補修方法を建て主に明確に伝える
⇒建て主は雨漏りしたことについて不安と不信が生じているので、
現場写真や図面などを使って、原因と補修方法につていの書面
を作成し、わかりやすく説明する。
□ 工期と補修コストは慎重に見積もる ※3
⇒雨漏りを確実に直すには新築時以上の手間が必要になる。ギリ
ギリの工期とコストでは、丁寧な施工ができず、再発を招いて
しまう恐れがある。
□ 既存の外装はなるべく壊さずに補修する
⇒雨漏りの補修の際には既存の外装を生かした形で施工する。外
装を大きくいじると、補修コスたがかさむだけでなく、雨の侵
入経路を増やしてしまうことになる。
□ 補修部分は仕上がりの美しさにこだわる ※4
⇒補修した部分は、既存部分とカラーリングや素材感を合わせて、
何ごともなかったかのように違和感なく仕上げる。
□ 報告書を作成して記録に残す
⇒雨漏りの原因、侵入経路、補修方法、見積書、現場写真などを
報告書にまとめ、建て主に渡す。記録を残しておくと、後日の
メンテナンスや点検・補修、リフォームなどの際に役立つ。
□ 補修後3年は施工部分の経過を見守る ※5
⇒通常の降雨では雨水が侵入しないが、強風を伴った降雨時に雨
漏りが発生することがある。見落とし箇所がある可能性を考え
て、最低3年は経過を見る。
※1 複数ある侵入経路
雨漏りというと屋根の不具合を想像することが多いが、実際に雨
水が入ってくるのは外壁からであることが多い。屋根に比べ、ベラ
ンダなどの取り合いや外付け設備の接合部、配管・配線のスリーブ
など、外装に穴を開ける箇所が格段に増えるからだ。ほんのわずか
なすき間からでも毛細管現象が働き、雨水が内部に入ってしまう。
「ここは問題ないはず」という先入観を捨て、可能性のある部位を
ひとつずつ確実にチェックして、雨水の侵入箇所が判明したら、そ
こをヒントに雨がかりの範囲や侵入した水の流れからを推察して、
ほかの箇所も突き止めていく。
※2 原因究明は図面で
雨漏りが発生した時点で、建て主からの信頼は大幅に失われてい
る。そこでいい加減な手当をして、雨漏りが止まらなかったら、裁
判などで損害賠償を請求されかねない。雨漏りの補修に臨む際は一
度確実に直るよう、原因を徹底的に究明する。そのためには、平面
図や立面図に雨漏り発生個所と雨水侵入箇所の印を付け、水の経路
を検討するのが一つの方法だ。図面上でその他の雨漏り要因を探る
ことができる。
※3 新築工事とは意識を変える
雨漏りしている箇所に、新築時と同じ体制や方法で施工したら、
同じ事態を招くのは言うまでもない。新築時は協力会社に細部の納
まりなどを任せていたとしても、補修工事の際は住宅会社自身が細
部まで責任を持ち、念入りに工事管理する姿勢が欠かせない。工期
と補修費用は多少余分に見積もり、「そこまでするのか」というく
らいの慎重さで、時間をかけて丁寧に施工する必要がある。
※4 建て主の気持ちを考える
雨漏りを止めるのはプロとして当たり前のこと。その痕跡を感じ
させないように美しく仕上げることではじめて、建て主のマイナス
の感情をようやくゼロに戻すことができる。建物だけでなく、そこ
に住む人の心のケアを忘れてはいけない。そこを怠ると、こちらが
解決したつもりでも、いつまでも建て主の中に不信感を残してしま
うことになる。
※5 台風は天然の散水試験
地震で建物が揺れれば構造体が動き、防水箇所にすき間が生まれ
やすくなる。また、台風のときには通常とは異なる方向から強い力
で雨が当たる。いわば天然の散水試験のようなものだ。夏の暑さや
冬の寒さでも、建材の伸縮や劣化が起こる。こうしたことから、雨
漏り補修後、最低3年間は折にふれて点検を続けたほうがいい。万
一、雨漏りが再発しても、苦情が来る前に発見できれば、逆に喜ん
でもらえる可能性がある。
(引用、日経ホームビルダー
木造住宅現場チェックシート 2008年10月号付録より)